小林 紀晴 「アジアロード 」
僕は路上にいた。
写真家・小林紀晴がアジアという人の波を歩く。
『ASIAN JAPANESE』から4年。新しい旅は、1995年夏から翌年の夏まで1年間にわたった。人の波を歩き、同時代に生きる普通の人々にカメラを向ける。バンコク・チェンマイ・上海そして沖縄へ。7ヵ国で出会った修行僧、娼婦、難民、学生、女優、蛇頭……アジアに生きる人間の、重い言葉と胸に迫る肖像。
好き好き大好き超愛してる。
愛は祈りだ。僕は祈る。
ゼロ年代デビュー、“ゼロの波の新人”の第一走者が放つ、「恋愛」と「小説」をめぐる恋愛小説。
<同時収録>
「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」/『ファウスト』Vol.1 巻頭掲載
僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。最大の幸福が空から皆に降り注ぐといい。僕は世界中の全ての人たちが好きだ。——(本文より)
陽気なギャングが地球を回す
確実に他人の嘘を見抜くリーダーを筆頭に、正確な体内時計の持ち主、演説の達人、天才スリという面々で組織されたギャング団が活躍する長編サスペンス。著者は、言葉を話すカカシ「優午」が殺されるという奇想天外なミステリー『オーデュボンの祈り』や、レイプという犯罪の末に誕生した主人公「春」の苦悩を爽快なタッチで描いた『重力ピエロ』など、作品ごとに個性的なキャラクターを生み出してきた伊坂幸太郎。特異な才能を持つ4人の男女が、思わぬ事態に巻きこまれていく本書は、その真骨頂ともいえる痛快クライム・ノベルだ。
市役所で働く成瀬、喫茶店主の響野、20歳の青年久遠、シングルマザーの雪子たちの正体は銀行強盗。現金輸送車などの襲撃には「ロマンがない」とうそぶく彼らの手口は、窓口カウンターまで最小限の変装で近づき「警報装置を使わせず、金を出させて、逃げる」というシンプルなものだ。しかしある時、横浜の銀行を襲撃した彼らは、まんまと4千万円をせしめたものの、逃走中に他の車と接触事故を起こしてしまう。しかも、その車には、同じ日に現金輸送車を襲撃した別の強盗団が乗っていた。
著者の持ち味ともいえるのは、コメディー映画のような軽妙なストーリーの中に、自閉症の子どもや、中学生のいじめといった、活劇とはそぐわないように見えるテーマを、違和感なく滑りこませている点である。社会から異端視されている者たちを、シニカルにではなく、爽やかに描いてきた著者は、本書においても「正しいことが人をいつも幸せにするとも限らない」と高らかに宣言する。どこまでも明るいギャング団の奮闘の影には、そんな著者からの深遠なるメッセージが見え隠れしている。
Φは壊れたね
D2大学院生、西之園萌絵、ふたたび事件に遭遇。
密室の宙吊り死体!森ミステリィ新シリーズ!!
おもちゃ箱のように過剰に装飾されたマンションの一室に芸大生の宙吊り死体が!現場は密室状態。死体発見の一部始終は、室内に仕掛けられたビデオで録画されていた。タイトルは『Φ(ファイ)は壊れたね』。D2大学院生、西之園萌絵が学生たちと事件の謎を追究する。森ミステリィ、新シリーズいよいよ開幕!!
阿修羅ガール
『煙か土か食い物』でミステリー作家としてデビューし、第15回三島由紀夫賞候補作となった処女短編集『熊の場所』で、圧倒的な存在感を見せつけた舞城王太郎の長編小説。主人公による軽妙な口語体で、まくしたてるようにストーリーを展開させていく独特の手法はそのままに、『熊の場所』の重要なモチーフであった、危険で暴力に満ちた世界観を、現実と妄想、現世と冥界までをも巻き込んで、さらにダイナミックに押し広げた作品に仕上がっている。
好きでもないクラスメートの佐野明彦となぜか「やっちゃった」アイコは「自尊心」を傷つけられて、佐野の顔面に蹴りを入れ、ホテルから逃げ出す。翌日、佐野との一件で同級生たちにシメられそうになるアイコだが、逆に相手をボコって、佐野が失踪したことを知らされる。佐野の自宅には切断された指が送られてきたという。アイコは、思いを寄せる金田陽治とともに、佐野の行方を追うが…。
同級生の誘拐事件、幼児3人をバラバラにした「グルグル魔人」、中学生を標的とした暴動「アルマゲドン」。謎の男・桜月淡雪、ハデブラ村に住む少女・シャスティン、グッチ裕三に石原慎太郎。暴力的でグロテスクな事件とキャラクターたちが交錯する中を全力疾走するアイコの物語からは、限りなくピュアなラブ・ストーリーが垣間見えてくる。純文学やミステリーといったジャンルを遥かに飛びこえた、文学そのものの持つパワーと可能性を存分に味わっていただきたい。
ICO −霧の城−
「ぼくが君を守る。だから手を離さないで」
頭に角の生えた生贄の少年。鋼鉄の檻で眠る囚われの少女。2人が運命を変えることを、「霧の城」は許さない。
構想3年。同名コンピュータゲームに触発されて、宮部みゆきがすべての情熱を注ぎ込んだ、渾身のエンタテインメント!
霧の城が呼んでいる。時は満ちた、生贄を捧げよと。
何十年かに1人生まれる、小さな角の生えた子。頭の角は、生贄であることの、まがうことなき「しるし」。13歳のある日、角は一夜にして伸び、水牛のように姿を現す。それこそが「生贄(ニエ)の刻(とき)」。なぜ霧の城は、角の生えた子を求めるのか。
宿命
高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。
小林 紀晴 「アジアロード 」
雫井 脩介 「犯人に告ぐ」
五十嵐 貴久 「Fake」
舞城 王太郎 「好き好き大好き超愛してる。」




